Vault Station Manager は、製造施設の作業者が共有デバイスで Quality ドキュメントを見ることができる、iOS™ および Android™ タブレット用のモバイルアプリケーションです。作業現場に紙のバインダーを置かず、タブレットから電子ドキュメントにアクセスする製造所が増えているため、組織が承認されたデバイスでこれらのドキュメントを共有する安全な方法が求められています。Vault Station Manager は高速のオフライン常時アクセスにより、Vault Quality ドキュメントをモバイルのみで暗号化された状態で見ることができます。
Vault Station Manager は使いやすく製造業のユーザのニーズに特化しています。手袋をはめた状態でも、アプリケーション内のドキュメントにわずか数回のタップでアクセスできます。また、Vault Station Manager は設定やメンテナンスも最小限で済みます。施設の IT ユーザはアプリケーションに 1 回ログインするだけで、アカウントがずっとそのデバイスにログインしたままになります。タブレットを再起動しても、ログイン状態は維持されます。オンライン状態では、Vault Station Manager は 15 分おきに Vault と自動的に同期するため、ユーザは常に最新のドキュメントを見ることができます。
Vault Station Manager のユーザは、通常は以下の 3 つのいずれかのカテゴリに分類されます:
- Vault Station Manager の導入前は、企業管理者が製造施設で紙のバインダーを管理する責任を負っていました。彼らは直接モバイルアプリケーションを操作することはありませんが、Vault を使用してステーションおよびステーションドキュメントを管理します。この記事は企業管理者を対象としています。
- IT 管理者は製造施設で使用されるタブレットデバイスのプロビジョニングを管理します。IT 管理者は共有アカウントを使用して各デバイスの Vault Station Manager モバイルアプリケーションにログインし、ステーションに関連付けます。詳しくは、Vault Station Manager アプリケーションの設定をご覧ください。
- 製造エンドユーザは製造施設の担当区域にあるタブレットデバイスを手に取り、Station Manager モバイルアプリケーションを使用して以前は紙のバインダーで利用していたドキュメントにアクセスします。詳しくは、Vault Station Manager の使用をご覧ください。
Note: Vault Station Manager は、現在 Quality アプリケーションファミリーの一部となっている別製品です。Vault Station Manager を使用するには、QualityDocs を使用する必要があります。詳細については、Veeva 担当者にお問い合わせください。
Station Manager の有効化
現在この機能は、初期の利用者のみ使用できます。Vault Station Manager の詳細および有効化については、カスタマーサクセスマネージャーまでお問い合わせください。
Station Manager のコンポーネント
Vault には、Vault Station Manager の設定と、ステーションへのドキュメントの関連付け用に以下のコンポーネントが含まれています:
- ステーションオブジェクト: ドキュメントとデバイスを関連付けることができるステーションの一覧を提供します。
- ステーションドキュメントオブジェクト: 特定のドキュメントバージョンをステーションに関連付けます。
- ステーションデバイスオブジェクト: 現在ステーションに関連付けられているタブレットデバイスの一覧を提供します。
- ステーションドキュメントライフサイクル: オブジェクトレコードを特定のライフサイクル状態に移動させることで、ステーションドキュメントを追加したり、Vault Station Manager から削除したりできるようにします。
- ステーションデバイスライフサイクル: Vault Station Manager モバイルアプリケーションが、ステーションデバイスオブジェクトの登録および登録解除を管理できるようにします。
- ステーションドキュメントの更新エントリアクション: 参照されるドキュメントが固定、廃版、または過去版のライフサイクル状態に到達した際に、ステーションドキュメントレコードを自動的に更新します。
- ステーション構成: 製造エンドユーザ向けに Station Manager モバイルアプリケーションエクスペリエンスをカスタマイズすることができます。
ステーションオブジェクトについて
ステーションオブジェクトは、施設の IT 管理者が Vault に選択できるすべてのステーションの一覧を保持します。管理者はステーションオブジェクトを使用して、製造現場の任意のステーションでユーザが Vault Station Manager を使用する際に表示されるべきすべてのドキュメントのリストを定義することができます。
ステーションオブジェクトドキュメントについて
Vault は、ステーションドキュメントオブジェクトを使用してドキュメントをステーションに関連付けます。ステーションドキュメントオブジェクトのドキュメントフィールドに参照されるドキュメントはバージョン固有です。Vault Station Manager アプリケーションには、選択されたドキュメントバージョンのみが表示されます。
ステーションドキュメントレコードがデバイスと同期するには、有効状態でなければいけません。Vault は、最大 1,000 件の有効状態のステーションドキュメントレコードを各ステーションに関連付けることができます。
ステーションデバイスオブジェクトについて
施設の IT 管理者が Vault Station Manager アプリケーションにログインし、ステーションを特定のタブレットに関連付けると、Vault は、以下の情報を保存するステーションデバイスオブジェクトレコードを自動作成します:
- タブレットデバイスのシリアル番号
- デバイスがステーションと関連付けられた、または関連付けが解除された日付
- デバイスが最後に正常に同期された日時
- デバイスにログインするために使用されたユーザアカウント
- デバイスのオペレーティングシステム
- Station Manager モバイルアプリケーションのバージョン
- デバイスの同期に失敗した場合、Vault はそのデバイスについて直近の同期に関する情報を保存します。
これらのレコードは、Vault 管理者によって直接作成・管理されませんが、Vault 管理者は、製造現場で Station Manager を使用してタブレットデバイス上で確認やレポート作成を行うことができます。
ステーションドキュメントライフサイクルについて
Vault には、ステーションドキュメントオブジェクトの標準のステーションドキュメントライフサイクルが含まれています。このライフサイクルには以下の状態が含まれます:
- 下書き: ステーションドキュメントレコードの初期状態。ステーションドキュメントが下書き状態にある場合、ドキュメントはステーションで使用が予定されていますが、どのデバイスでもまだ使用されていません。
- 有効: ドキュメントはステーションデバイスで使用されています。
- 過去版: ステーションデバイスで新しいドキュメントバージョンが使用されています。
- 廃版: ステーションデバイスでどのバージョンのドキュメントも使用されていません。
ステーションデバイスライフサイクルについて
Vault には、ステーションデバイスオブジェクトの標準のステーションデバイスライフサイクルが含まれています。このライフサイクルには以下の状態が含まれます:
- 承認済: デバイスは現在ステーションに関連付けられています。Station Manager アプリケーションは、デバイスがステーションに関連付けられている場合に、承認済状態のステーションデバイスレコードを自動的に作成します。
- 削除済: デバイスはステーションと関連付けられていません。Station Manager アプリケーションは、ログアウト、ステーションの切り替え、デバイスの登録解除のいずれかの方法で、デバイスがステーションとの関連付けが解除された際に、ステーションデバイスレコードを削除済状態に自動的に移動します。
手動で行う場合は、アクションメニューでステーションデバイスの削除を選択し、ステーションデバイスオブジェクトを削除済状態に移動します。これにより、デバイスは次の同期の試行で強制的にログアウトします。
ステーションドキュメントの更新エントリアクションの設定
固定または廃版状態のドキュメントライフサイクルにステーションドキュメントの更新エントリアクションを設定することができます。ドキュメントが固定または廃版状態に入ると、Vault はそのレコードに関連付けられているステーションドキュメントの状態を自動的に更新します。
非固定状態または非廃版状態にはこのエントリアクションを設定しないでください。
ステーションドキュメントの更新エントリアクションの仕組み
ドキュメントが固定状態になり、現在有効状態のステーションドキュメントレコードに関連付けられている場合、Vault は既存のステーションドキュメントレコードを過去版状態に移動します。次に Vault は、固定ドキュメントバージョンに関連付けられる有効状態のステーションドキュメントレコードを新規作成します。
例えば、ドキュメント「施設緊急時計画」(v4.0 固定 状態) が、現在ステーションドキュメントレコード「施設緊急時計画 v4.0 – R10」(有効状態) 経由でステーション R10 で使用できるとします。「施設緊急時計画」v5.0 が固定状態になり、v4.0 が過去版になると、Vault は既存のステーションドキュメントレコードを過去版状態に移動し、有効状態のステーションドキュメントレコード「施設緊急時計画 v5.0 – R10」を新規作成します。
ドキュメントが廃版状態になると、Vault はすべての関連ステーションドキュメントレコードを廃版状態に移動します。
ステーション構成オブジェクトについて
ステーション構成オブジェクトを使用すると、Station Manager ユーザによるアプリケーションの表示方法と操作方法をカスタマイズすることができます。ステーション構成を定義したら、構成を使用したいステーションオブジェクトごとにステーション構成レコードを選択する必要があります。同じステーション構成を選択できるステーション数に制限はありません。管理者 > コンテンツ設定 > ステーション構成でステーション構成レコードを作成・管理します。
ステーション構成オプションの定義
これらのオプションは、Station Manager ユーザによるステーション構成オブジェクト経由でのアプリケーションの表示方法や操作方法をカスタマイズするために使用することができます。オプションの設定に関する詳細手順については、各オプション固有の記事をご覧ください。ステーション構成オプションには以下が含まれます:
- ドキュメントのカテゴリ化
- このオプションを使用すると、管理者は Vault でステーションドキュメントを分類することができます。これらの分類は、モバイルアプリケーション上に表示されるため、製造エンドユーザはカテゴリーを選択して、現在のタスクに関連するドキュメントに閲覧を限定することができます。ドキュメント分類は、Station Manager デバイスが複数のロール、製品、または機器で共有される場合に便利です。
ステーション構成の選択
ステーションオブジェクトレコードのステーション構成フィールドは、Stationconfiguration.[name]
の形式の値を承諾することができるテキストフィールドで、[name]
はステーション構成レコードの名前です。選択しやすくするために、ステーションオブジェクトページレイアウトを構成して、ステーション構成専用のドロップダウンを使用することが推奨されます。
ステーション構成のドロップダウンセレクターを追加するには:
- 管理者 > コンテンツ設定 > オブジェクトの順に選択して、ステーションオブジェクトをクリックします。
- レイアウトのセクションで、追加をクリックします。
- リストからステーション構成セレクターを選択します。デフォルトのステーション構成フィールドがこのリストにも表示される場合がありますが、アプリケーションのコントロールアイコンが付いたオプションを選択する必要があります。
- 任意の作業: ステーション構成の追加ダイアログで、異なるラベルとヘルプコンテンツを指定チェックボックスを選択して表示された名前とツールチップテキストをカスタマイズすることができます。
- 完了をクリックします。
- デフォルトのステーション構成のテキストフィールドがオブジェクトページレイアウトに存在する場合は、X (削除) アイコンをクリックして削除します。
- 保存をクリックします。
これで、ステーションオブジェクトレコードを編集する際に、ステーション構成のドロップダウンメニューを選択して定義済みのステーション構成を選択することができるようになります。
ステーションおよびステーションドキュメントの作成
ステーションおよびステーションドキュメントレコードを個別に作成したり、またはVault ローダーを使用してレコードを一括作成したりすることができます。
ステーションドキュメントを作成した後は、Vault と同期し、ステーションデバイスにドキュメントを表示するには、Vault Station Manager に対してレコード状態を有効に変更する必要があります。
ステーションの一括作成
ステーションレコードを一括作成するには、まずテンプレート CSV ファイル を作成する必要があります。Vault ローダを使用すると、行の見出しのみ抽出するオプションを使用して、ステーションオブジェクトタイプのテンプレート CSV を抽出することができます。
抽出したテンプレート CSV をダウンロードすると、status__v
と facility__v.external_id__v
のフィールドの削除を選択することができます。作成したいステーションごとに残りのフィールドを入力します。次に、Vault ローダに戻って CSV ファイルをアップロードし、ステーションオブジェクトレコードを作成します。詳しくは、Vault ローダを使用してレコードを作成するをご覧ください。
ステーションドキュメントの一括作成
ステーションドキュメントレコードを一括作成するには、まず固定状態のドキュメントのリストをエクスポートします:
- ライブラリに進みます。
- ドキュメントバージョンフィルタを追加し、固定状態のみを選択して、すべての固定状態のドキュメントを表示します。
- ライブラリの表レイアウトを選択します。
- アクションメニューで、列の編集を選択し、ドキュメント ID、高バージョン番号、マイナーバージョン番号を追加します。
- アクションメニューで、Excel にエクスポートを選択します。
次に、ローダタブに進みます。現在のステーションのリストを抽出し、各ステーションの ID を取得します。次に、ステーションドキュメントオブジェクトタイプを抽出し、列の見出しのみを抽出を選択してステーションドキュメント CSV テンプレート.ß を作成します。
必要なすべてのドキュメントとステーション情報をエクスポートしたら、ステーションドキュメント CSV テンプレートに入力します。
- station__v 列に、関連するステーションの ID を入力します。
- station__v.name__v 列に、ステーションの名前を入力します。
- document__v 列に、次の形式で各ドキュメントの ID を入力します: DocID_MajorVersion_MinorVersion。
- document_unbound__v 列を削除します。
ステーションドキュメント CSV が入力できたら、ローダタブに戻り、CSV をアップロードして新規ステーションドキュメントを作成します。
サンプル CSV
ドキュメント制限
Station Manager のドキュメントには以下の制限が適用されます。
- ステーションごとに割り当てられるドキュメントの最大件数: 1,000
- ドキュメントレンディションごとの最大容量: 100MB、ビデオレンディションごとの最大容量: 500MB
- ステーションごとにまとめたすべてのレンディションの最大容量: 10GB
関連権限
以下の権限は、Vault 内で Vault Station Manager のコンポーネントを設定する権限を制御します:
タイプ | 権限 | 制御 |
セキュリティプロファイル | 管理者: ドキュメントライフサイクル: 編集 | ドキュメントライフサイクルと、ドキュメントライフサイクル状態のステーションドキュメントの更新エントリアクションを設定する権限。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト: ステーション: 作成、編集 | ステーションレコードを作成・更新する権限。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト: ステーションドキュメント: 作成、編集 | ステーションドキュメントレコードを作成・更新する権限。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト: ステーションデバイス: 参照 | Vault Station Manager アプリケーションで使用中のデバイスのリストを表示する権限。 |
セキュリティプロファイル | オブジェクト: ステーションデバイス: ステーションデバイスの削除: 実行 | ステーションデバイスの削除アクションを選択してステーションデバイスの登録を解除する権限。 |